ソロモン諸島は聞きなれない国かもしれませんが、日本と同じ島国です。小さな国ではありますが、手つかずの自然が多く残り、美しい海が広がっています。今回は、秘境ともいえるソロモン諸島唯一の世界遺産「東レンネル」をご紹介します。
ソロモン諸島ってどんな国?

ソロモン諸島は南太平洋に浮かぶ大小1,000近くの島々からなる島国で、地図上で見るとオーストラリアの右上に位置します。首都はホニアラ。
日本からの直行便はなく、ソウル(韓国)やブリスベン(オーストラリア)経由が一般的です。(※2022年8月の時点では、オーストラリアのケアンズとパプアニューギニアのポートモレスビーを経由するといった、乗り継ぎが2回以上の便しか出ていないようです。)オーストラリア経由の場合、所要時間は約12~14時間。
面積は28,900㎢で四国の約1.6倍の大きさ、人口は約68万人で鳥取県のお隣の県・島根県の人口約66万人と同じくらいです。
赤道に近く熱帯気候のため、国土の大部分がジャングルに覆われています。四季はなく、年中暑い、常夏の国です。
公用語は英語ですが、民族によってそれぞれの言語を持っており、一般的にソロモン人はどの民族でも通じる共通語のピジン語を使用しています。
島国ということもあってか、みんな陽気でのんびりしています。
世界遺産「東レンネル」とは?

東レンネルはソロモン諸島の最南端に位置する、レンネル・ベローナ州で最大の島・レンネル島にあります。
レンネル島はサンゴ礁が隆起してできた世界最大のサンゴ島です。
島の東部には、環礁の内側の海が湖となり、湖底のどこかで海と繋がっている汽水湖・テガノ湖があります。
このエリアでは固有種が生息する独特の生態系が育まれており、1998年に「東レンネル」として世界遺産に登録されました。
どうやっていくの?

首都ホニアラから飛行機の直行便が出ており、所要時間は約1~1時間半。ただし、運航数は少ないので事前チェックは必須です。
搭乗する航空機は一般的な飛行機であるジェット機ではなく、プロペラ機。座席数も25名程度と少なく、小型のため機体が揺れやすいです。
でもまあなかなか出来ない体験だと思うので、これも楽しみのひとつと捉えてぜひ挑戦してみてください!
船で行く方法もあるそうですが、かなりの長旅になる上、スケジュールも定まっていないので、やはり飛行機をおすすめします。

これが空港!?と驚いてしまう、ただの原っぱなレンネル・ティンゴア空港。

滑走路に入り離陸しようとするプロペラ機。やはりただの原っぱにしか見えません…。

レンネル・ティンゴア空港のチケットオフィス。こ、小屋!?

緩すぎるチケットカウンター。でも陽気♪
レンネル島の空港から東レンネルまでは車で約2、3時間。島内に1本あるメインロードをひたすら進みます。
宿泊施設はあるの?

秘境といっても、世界遺産があるためやはり観光客はちらほらやってくるもの。そのため、島内には小規模ながらも宿泊施設が点在しています。
東レンネルを観光するなら、やはりテガノ湖周辺に宿泊するのがベストでしょう。英語になりますが、こちらのサイトからレンネル島内の宿泊施設の情報を確認できます。今回ご紹介するTEGANO LODGE(テガノロッジ)はこちらのページに掲載されています。
ただ、観光業に注力しているわけではないため、島内のネット環境が不安定だったり、施設のオーナーがメールをチェックしていなかったりなど、そのあたりも南国スタイル?でゆったりしています。メールをして返事がなかなか無くても気長に待つか、他の施設を検討するなど、根気強くチャレンジしてみましょう。
私が利用したTEGANO LODGEは、オーナーのおじさんがとても気さくで優しく、最初から最後まで本当によくしていただきました。とてもおすすめできる宿泊施設です!

ロッジにはキッチンがあり、お願いすれば使用可能。

ゲストルームはいくつかあり、利用人数や部屋数で料金は変わります。交渉も可能です。
食事はどうするの?
島の住民は魚を取ったり、芋などを育てたり、基本的に自給自足です。
一応売店のような小さな店もあるようですが、首都から遠く離れたこの島に商品が補充されることもなかなかなく、売り切れや品薄状態が多いです。
観光で訪れる場合は、宿泊施設に予約をする際に食事の有無を確認しましょう。食事なしの場合はもちろんのこと、ありと言われた場合でも、首都で何かしらの食料を調達していくことをおすすめします。
私自身も航空会社側の問題で、しっかり事前準備した食料がレンネル島で受け取れず慌てふためきましたが、ロッジのオーナーが親切にも最後まで食事の面倒をみてくれたおかげで助かりました。現地の方の優しさも、世界遺産レベルです。

オーナー特製のごはんと芋と魚のミルキム料理。
ミルキム料理とは、ココナッツの果肉を削って絞り出したオイルで魚や肉、イモなどを煮込んだソロモンの代表的な地元料理です。

現地の方が罠を仕掛けて捕まえてくれたヤシガニ。蒸し焼きにしていただきました。

出かける際にロッジのオーナーがボックスに入れて持たせてくれたランチ。
その辺の葉っぱをお皿代わりにするのがソロモンスタイル。
東レンネルの見どころ
テガノ湖

なんといっても東レンネルの一番の見どころは太平洋で最大級の汽水湖・テガノ湖。
湖の面積はレンネル島の面積の2割を占めるほど大きなものです。
湖面には石灰岩でできた200以上の島が点在しています。
テガノ湖には爬虫類や鳥類など、ここでしか見られない動植物が数多く生息しています。

レンネル島の固有種であるレンネルマングローブオオトカゲ。

湖上の島々で暮らす、上空を飛ぶ膨大な数の鳥たち。

テガノ湖の水の透明度は高く、魚も生息しているのでシュノーケリングも楽しめます。
ソロモン諸島は第二次世界大戦中の激戦地だったこともあり、ジャングルや海底に未だ多くの戦争の遺物が残されています。
ここテガノ湖にも戦闘機が沈んでおり、シュノーケリングでその姿を間近で見ることができます。

レンネル島にはいくつかの集落があり、テガノ湖の湖畔にも人々が住んでいます。
学校もありますが、そこはやっぱり湖スタイル。多くの子どもたちがボート通学しています。通学の際、ボートを所有する人は限定されるため、大人が協力し合ってボートを走らせています。
テガノ湖
住所 Lake Tengano, Solomon Islands
水中洞窟

テガノ湖には、その湖底に海と通ずる穴があるのかもしれないと考えられる水中洞窟が存在します。
ほとんど調査がされておらず、現地の人でさえ奥まで行ったことはないそうで、謎多き洞窟です。
水中で巨大ウナギが発見されたこともあり、通常ウナギの稚魚は海にいるため、穴の存在の可能性が強まりました。

湖面の移動は基本的にOBM(Outboard Motorと呼ばれる船外機をつけた小型ボート)かカヌーです。水中洞窟へも、このOBMに乗せてもらって向かいます。
ビーチ

テガノ湖ばかりに注目してしまいがちですが、サンゴ礁のエメラルドグリーンのビーチもおすすめスポットです。
誰もいない美しい海で、思う存分シュノーケリングなどを満喫できます。
ただ、ビーチまではジャングルを抜けていく必要があります。
高温多湿で雨量の多いこの地域では植物が所狭しと生い茂り、もはや道があることさえわかりません。自力で行くことは難しく、迷ってしまうと思うので、土地に詳しい現地の方に同行してもらいましょう。
道のりは片道約2~3時間と、さっと行ける距離ではありませんが、探検家気分で本物のジャングルを楽しみましょう!

ビーチに続く道。
これが道!?と思ってしまいますが、現地人は普通にさくさく進んでいきます。

突然の激しい雨。ソロモンではよくありますが、数十分で止むことが多いです。
雨が止むまでは近くの大きな木のうろで雨宿りタイム。

ジャングルを抜けると誰もいない美しいビーチが目の前に広がります。
この日はほとんど曇っていましたが、晴れの日の海は一段と美しいです。

サンゴに集まる色鮮やかなトロピカルフィッシュたち。

抜群の透明度でヒトデもはっきり目に見えます。
東レンネル
住所 East Rennell, Solomon Islands
レンネル島
住所 Rennell Island, Solomon Islands
おわりに
ソロモン諸島はなかなか馴染みがなく、行く機会はそうそうないかもしれません。けれども、だからこそ観光客のいない、手つかずの自然が残る世界遺産を見ることができます。また、田舎だからこその現地の人々の優しさや温かみを直接感じることができます。
いつもの世界遺産の旅を一味変えて、探検家気分でソロモンの秘境「東レンネル」を訪れてみてはいかかでしょうか。